1.ペットフードの製造について

1-5.原 料

 ペットフードの種類によって利用する原料は大きく異なります。
 ドライフードは、トウモロコシ・小麦(小麦粉を含む)・大豆(脱脂大豆を含む)等の穀類と肉粉や魚粉並びに肉・魚等の動物性原料に油脂や嗜好性物質・ビタミン・ミネラル・アミノ酸といった栄養添加物や他の添加物等が使用され、総合栄養食として栄養バランスを整えたものがほとんどです。
ウエットフードは、ビーフ等の畜肉類、マグロ等の魚介類が主体で、密封容器で殺菌されますので保存料のような添加物は使用されません。
 セミモイストやソフトドライフードが、ドライフードやウエットフードと原料面で大きく異なるのは、水分を25〜35%程度に保つために湿潤目的の原料が使用されることです。湿潤目的の原料には、糖質やプロピレングリコール・グリセロール等の糖アルコール等が利用されます。
ペットフードには、食品に使用される原料・食材が利用されます。加えて、植物性原料を含む多くの飼料原料も利用されます。
 かつては、人があまり利用しない原材料を有効利用することにより、人の食材と競合しないようにして製造されたペットフードも、今日では人が食べている原料の利用が高まり、人の食材と競合するようになり食資源確保の点で、消費者への理解と知識啓発活動が不可欠になってきました。
 食用原料とペットフード用の原料の違いは、使用目的と利用適正による違いです。
 例えば、加工上、食用に向かない部分や食習慣の違いから食用とされずに残る内臓などが、人から見ると味や食べやすさで多少劣っていても、高い栄養価や経済性からペットフードにとって価値ある原料として利用されます。
 例えば猫用缶詰は、1960年代から1980年代は食用の缶詰製造時にマグロやカツオの白身以外の利用されない血合肉(血が混ざったものでなく、白身肉と同じ筋肉成分ですが加熱すると赤茶色の血と同じような色調となることからこの名前がつきましたが、栄養成分的には白身肉より多くの有用成分を含んでいます)を使用した缶詰が主でしたが、見栄えが悪く今日では食用と同じ白身肉主体の缶詰が主流となっています。

ペットフード公正取引協議会がまとめた原料分類表