08.原材料について

「原材料名」又は「原材料」の文字を記載した上で、原則として使用した原材料全てを記載することとなっています。また、その書き方に関してはいくつかのルールがあります。ここではそれらのルールのうち代表的なものを紹介します。

1.原材料の表示順と分類表示

例えば、以下のような原材料表示では青字の部分が添加物以外の原材料で、緑字の部分が添加物となり、青字の部分は重量の割合の多い順になっています。
また、ペットフード安全法及び公正競争規約に定められたいくつかの添加物は、その用途名も併記しなければなりません。用途名の併記が必要な添加物に関しては下記の表2を参照してください。

原材料の表示例1

コーン、チキンミール、コーングルテンミール、ポークミール、小麦粉、ビーフオイル、フィッシュエキス、大豆油、酵母、乾燥全卵リン酸カルシウム、硫酸第一鉄、レチノール、チアミン硫酸塩、ピリドキシン硫酸塩、食用赤色3号、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物)

ペットフード安全法及び公正競争規約では、原材料は肉類や穀類などの分類ごとにまとめて書く方法も認められています。
その場合の表示例は以下の表示例2のようになります。これは上の表示例1と同じフードです。

*各原材料の分類名は下記の表1を参照してください。

原材料の表示例2

穀類(コーン、コーングルテンミール、小麦粉)、肉類(チキンミール、ポークミール)、油脂類(ビーフオイル、大豆油)、魚介類(フィッシュエキス)、酵母、卵類(乾燥全卵)ミネラル類(P、Ca、Fe)、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB6)、食用赤色3号、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物)

また、分類名のみの表示も下記のように認められており、上記と同じフードは以下のようにも表示することができます。ただし、近年は食物アレルギーのあるペットもいることや、ペットオーナー様の原材料に関する関心の高さなどもあり、このような表示はほとんどないようです。

原材料の表示例3

穀類、肉類、油脂類、魚介類、酵母、卵類ミネラル類(P、Ca、Fe)、ビタミン類(A、B1、B6)、食用赤色3号、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物)

表1:ペットフードの原材料の分類表

分類名 定義 個別名の例
穀類 全ての穀類の穀粒、挽き割り、穀粉、及びその加工物(加工物のうち、コーンスターチ、コーン油、砂糖などは、それぞれでん粉類、油脂類、糖類に分類する) 穀粒及び挽き割りのとうもろこし(メイズ、コーン)、マイロ(グレーンソルガム)、小麦、大麦、玄米、えん麦(オート麦)等。製粉された小麦粉、米粉、コーンフラワー 等。
その加工物の米糠、小麦ふすま、小麦胚芽、小麦グルテン、コーングルテンフィード、コーングルテンミール、パン粉 等。
いも類 全ての種類のいも類、及びその加工物(加工物のうちポテトスターチなどはでん粉類に分類する) さつまいも、馬鈴薯、こんにゃく 等。
でん粉類 全ての種類のでん粉、でん粉原材料、多糖類原材料、及びその加工物 コーンスターチ、ポテトスターチ、タピオカ(キャッサバ)スターチ 等。
糖類 全ての種類の糖質、糖質高濃度含有物、及びその加工物 砂糖、ぶどう糖、(グルコース)、果糖(フラクトース)、異性化糖、オリゴ糖類、水飴、シロップ、糖蜜、蜂蜜 等。
種実類 全ての種類の植物の堅果、種子、及びその破砕物(種実類から油を抽出した場合は油脂類に分類する) アーモンド、栗、ゴマ、落花生、亜麻仁 等。
豆類 全ての種類の豆、及びその加工物(加工物のうち大豆油等は油脂類に分類する) 大豆、そら豆、小豆 等。その加工物の脱脂大豆、大豆ミール、きなこ、大豆粉(ソイフラワー)、大豆たん白、おから 等。
野菜類 新鮮な又は適正な方法により保存されてある全ての種類の野菜、及びその加工物(エキス類を含む) にんじん、キャベツ、グリーンピース、かぼちゃ、野菜エキス、ヤングコーン 等。
果実類 新鮮な又は適正な方法により保存されてある全ての種類の果実類、及びその加工物 アボカド、りんご、バナナ、パイナップル、パッションフルーツ、果汁絞りかす 等。
きのこ類 新鮮な又は適正な方法により保存されてある全ての種類のきのこ、及びその加工物 マッシュルーム、えのき、しいたけ、しめじ 等。
藻類 新鮮な又は適正な方法により保存されてある藻類、及びその加工物 のり、こんぶ、わかめ、ひじき、クロレラ、スピルリナ、寒天 等。
魚介類 新鮮な又は適正な方法により保存されてある魚類、貝類、甲殻類、軟体動物、及びその加工物(加工物のうち魚油は油脂類に分類する) まぐろ、かつお、あじ、いわし等の魚類。えび、かに等の甲殻類。たこ、いか等の軟体動物。ほたて、さざえ等の貝類。
その加工物のフィッシュミール(魚粉)、フィッシュエキス、かつおぶし 等。
その形態を表す小魚、しらす、小エビ 等。
その肉質を表す白身魚、青魚 等。
その部位を表すマグロ血合肉 等。
肉類 新鮮な又は適切な方法により保存されてある哺乳動物・家禽類等の生肉、肉体部分、及びその加工物(加工物のうち牛脂等は油脂類に分類する) 牛(ビーフ)、豚(ポーク)、羊(マトン又はラム)、鶏(チキン)、七面鳥(ターキー)、家禽(ポルトリー)等の畜肉、鳥肉及び獣肉。その部位を表すレバー、牛筋、豚耳、ささみ、砂肝 等。その加工物のチキンミール、ポークミール、肉エキス 等。
卵類 新鮮な又は適正な方法により保存されてある鳥類の卵、及びその加工物 鶏卵(全卵、乾燥全卵、卵黄・卵白)、あひる卵、うずら卵 等。
乳類 新鮮な又は適正な方法により保存されている生乳、及びその加工物 全脂乳、脱脂乳及び全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエー、チーズ、バター、クリーム 等。
油脂類 全ての動物及び植物から得られる油脂及び加工油脂、脂肪酸類 動物性油脂〔牛脂(タロー)、豚脂(ラード)、鶏脂(チキンオイル)、魚油(フィッシュオイル)、バター、脂身 等〕。
植物性油脂〔大豆油、ごま油、胚芽油、綿実油、パーム油、マーガリン 等〕。
脂肪酸〔リノール酸、リノレン酸、高度不飽和脂肪酸 等〕。
上記分類以外のもの(個別名で表示する) ハーブ、酵母、牧草、セルロース 等。

2. 用途名を書かなければならない添加物

添加物のうち、ペットフードを選ぶ際に、その使用目的や効果を表示する必要性が高いと考えられる添加物については、用途名を併記しなければなりません。それらの添加物は以下の通りです。

表2:用途名の併記が必要な添加物

分類名 定義 個別名の例
甘味料 ペットフードに甘味を与える D-ソルビトール
ステビア抽出物 等
着色料 ペットフードを着色し、色調を調整する カラメル色素
食用赤色3号 等
保存料 カビや細菌などの発育を抑制し、ペットフードの保存性を高める ソルビン酸
ソルビン酸ナトリウム
増粘安定剤 ペットフードになめらかな感じや粘り気を与え、分離を防止し、安定性を向上させる カラギーナン、グァーガム、増粘多糖類
酸化防止剤 油脂などの酸化を防ぎ、保存性を高める ミックストコフェロール
ローズマリー抽出物
発色剤 ペットフードの色調を改善する 亜硝酸ナトリウム

添加物が増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊料、粘結剤として使用される場合、用途名は「増粘安定剤」と表示します。

3.その他

その他、一括表示のできる添加物、集約表示のできる添加物、表示が一部免除される場合などの規定もありますが、それらについては農林水産省消費安全局長・環境省自然環境局長通知及び公正競争規約の本文をご確認ください。