1. 添加物の定義
ペットフード安全法で、添加物は以下のように記載されています。
ペットフード安全法で添加物とは、ペットフードの製造の過程において又はペットフードの加工若しくは保存の目的で、添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物をいいます。
2. 添加物の使用に際して留意する事項
ペットフード安全法のQ&Aや、パンフレット「安全なペットフードを供給するために」の中で以下のような留意事項が記載されています。
農林水産省 ペットフード安全法 製造に関するQ&Aより
ペットフードの安全確保について第一義的な責任を有する事業者の責任において、犬猫に安全である添加物を使用してください。また、ペットフード安全法上の安全基準が定められている添加物もありますので、注意してください(例:猫用のペットフードには、プロピレングリコールは使用できません)。
添加物の使用は必要な場合に限り、かつ、必要最小限の量にしましょう。
農林水産省 パンフレット「安全なペットフードを供給するために」より
3 適正な製造に当たっての注意事項
- ペットフード安全法の基準・規格が設定されていない添加物の使用量は、ペットフード中で目的とする効果を得るために必要とする量で、最小限の量に設定するようにします。
- 使用する添加物はペットフードへの添加に適切な品質であることを確認し、その他の原材料と混合する添加物の場合は、全体が均一になるように調整します。
- 製造毎に所定の必要量を計量して使用し、作業記録(製造記録)に添加状況を記録します。
3. ペットフードに使用できる添加物
ペットフード安全法では、いくつかの基準・規格が設定されている添加物はありますが、使用できる添加物のリストはなく、「飼料添加物」、「食品添加物」、「AAFCOの指定する添加物」および「FEDIAFの指定する添加物」などを参考に、犬猫に安全である添加物を事業者の責任において使用することとなっています。
これらの参考となる資料としては、(一社)ペットフード協会が「ペットフードの表示のための添加物便覧」として作成しています。
4. ペットフードに使用できない添加物
上記の参考としている添加物のうち、飼料添加物、AAFCOやFEDIAFが指定する抗生物質や抗菌剤はペットフードには使用できません。
産業家畜用飼料に使用する抗生物質や抗菌剤は、家畜の腸内細菌叢をコントロ-ルして家畜の成長やその生産物の増加に寄与し、最終生産物に薬剤が残留しない程度の濃度と使用期間が限られているもので、治療を目的とする薬剤とは異なります。飼料添加物として使用される抗生物質や抗菌剤は、飼料安全法により使用制限のある添加物ですのでペットフードに使用することはできません。なお、欧米ではペットフードは家畜飼料の一部として位置付けられており、ペットフードに使用する添加物も飼料添加物の中で管理されていますが、欧米でも抗生物質や抗菌剤などの添加物は、ペットフ-ドに使用できません。
5. ペットフード安全法で基準・規格が設定されている添加物
ペットフード安全法で基準・規格が設定されている添加物は以下の通りです。
成分規格
添加物名 | 上限値(μg/g) |
---|---|
亜硝酸ナトリウム | 100 |
エトキシキン、ジブチルヒドロキシトルエン及び ブチルヒドロキシアニソール |
150 (合計量) |
エトキシキン(犬用) | 75 |
製造方法の基準
添加物名 | 基準 |
---|---|
プロピレングリコール | 猫用には用いてはならない |
6. 添加物の記載方法
原材料として添加物を記載する場合は、原則として個別名を記載します。以下の添加物については、それぞれの表示ルールに沿って記載します。
分類 | 個別名の例 | |
---|---|---|
ア.用途名を併記する添加物 | ||
用途名 | 甘味料 | D-ソルビトール、ステビア抽出物 等 |
着色料 | カラメル色素、食用赤色3号 等 | |
保存料 | ソルビン酸、ソルビン酸ナトリウム 等 | |
増粘安定剤 | カラギーナン、グァーガム、酢酸デンプン(加工デンプン) 等 | |
酸化防止剤 | ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物 等 | |
発色剤 | 亜硝酸ナトリウム 等 | |
イ.添加物の個別名に代えて一括名で表示できる添加物 | ||
一括名 | イーストフード | |
かんすい | ||
苦味料 | ||
酵素 | α-アミラーゼ 等 | |
光沢剤 | ||
香料 | 各種フレーバー等 | |
酸味料 | クエン酸、コハク酸 等 | |
調味料 | L-グルタミン酸ナトリウム、5’-イノシン酸二ナトリウム 等 | |
豆腐用凝固剤 | ||
乳化剤 | グリセリン脂肪酸エステル、レシチン 等 | |
pH調整剤 | DL-リンゴ酸、乳酸ナトリウム 等 | |
膨脹剤 | 炭酸水素ナトリウム 等 | |
ウ.栄養強化の目的の添加物 | ||
ビタミン類 | L-アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンE、ビタミンB1 等 | |
ミネラル類 | リン酸カルシウム、硫酸第一鉄 等 | |
アミノ酸類 | タウリン、DL-メチオニン 等 | |
エ.その他の添加物 | 製造用剤 等 |
注釈
- (a)添加物を上表アの目的で使用する場合、用途名も併記する。
- (b)「着色料」にあっては、添加物の物質名に「色」の文字を含む場合は、用途名の表示を省略することができる。
- (c)「増粘安定剤」にあっては、複数の多糖類を使用する場合は、「増粘多糖類」と表示し、添加物の物質名の表示を省略することができる。
- (d)添加物を上表イの目的に使用する場合、一括名で表示することも可能とする。
- (e)栄養強化の目的に使用されるビタミン類は集約して、ビタミン類(B、B6、C、E)のように表示することも可能とする。
- (f)栄養強化の目的に使用されるミネラル類は、その目的する成分名(元素)を集約して、ミネラル類(Na、C1、Ca、P)のように表示することも可能とする。
- (g)添加物の個別名に代えて、別名、簡略名、類別名による表示も可能とする。
- (h)栄養強化目的の添加物ついて、内容量が100g以下の缶詰又は表示可能面積が120㎠以下のものについては、それぞれビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類と表示することも可能とする。